オレが初めて就職した会社はブラック企業だった。
ブラック企業の定義は曖昧だが、パワハラなんて当たり前、朝9時~夜23時が定時、仕事内容すら教えてもらった記憶はなく、パンフレットとトークスクリプトが書かれたA4用紙1枚を持たされて「はい、いってらっしゃ~い」の世界だった。
ブラック企業はおかしなことだらけ
いや~今考えればおかしいことだらけだよね、でも当時は普通がどんなものかすらわかってなくて「そういうものか」くらいの認識だったんだよ。
23時はあくまでも定時で契約を取ってこれなければ残業だ、21時を過ぎる頃には「1本取れると思います!予定はあります!」と会社にウソの電話をする、「こんな時間に契約もクソもねーだろ!」と内心思いながらも会社に戻れない時間を現地で潰す。
「ダメでした!」と” 惜しくも契約が取れなかった悔しさ ”感を滲ませて深夜0時を過ぎてから会社に戻る。
次は契約が取れなかった営業マンが集められて説教だ、本部長直々に精神論を叩き込まれて深夜2時も過ぎたころやっと開放される。
そんな日々が続くとさすがに「おかしい」と考え始めるが、お金がないから辞めることはできない「契約さえ取れれば金がもらえる!」という思いだけで初めの1ヶ月を過ごすが、入社から1ヶ月が過ぎたときオレの契約件数は”0 ”だった( ゚Д゚)
日々のご飯は出先で食べるカップラーメン1コだけとかよくあったよ、この頃は。
金がないから辞めるに辞められない
月初には決起的意味合いの飲み会が開催される、
「はい、なんと!今月の〇〇君は●●件の契約を取りました!
素晴らしい!おめでとー!」
そしてオレの番がやってくる、
「オレくんは今月1本も契約が取れませんでした!
来月はたくさんの契約を取ってくれるものと信じております!」
いたたまれない。
完全な吊し上げでストレスMAX、胃に穴が空きそうだ、食えよ飲めよと言われるが罪悪感ありすぎて食べれやしない、腹減ってるのに。
朝礼では本部長からありがたいお言葉を頂戴する、
「君らが契約が取れなくても会社は君らに給料払っとるんで?」
しかし会社が払ってくれていた給料は全て借金だった。
契約が取れなければ給料は”0 ”固定給なんてものはない、当然ボーナスなんてあるわけもない、給料は末締めの翌々月末払いで会社から生活費を借りる形で生活していた。
最終的に借金は150万くらいまで膨らんだよね、ま~確かにガソリン代とか高速代とかは会社持ちだったから会社には負担はかけてたけど。
この頃にはいろいろな意味で会社の「おかしさ」に気がついてはいたが、全ては「今更」な話だし、結果を出すこと以外で現状を変える術はないものだと思っていた、そしてそのことを別段不幸だとは思ってはいなかった。
ブラック会社あるある?
おかしな会社だった小話はいくらでもある、
- パンチパーマ、ベンツ、金無垢時計の本部長がサラリーマンには見えない話
- パンチパーマの強面だけど本部長はお客さんにメッチャ好かれちゃう話
- 本部長から愛人をドライブに連れて行けと言われて本部長ベンツでドライブに行った話
- 副本部長に「オレについて来い」的なこと言われて断ったらやっべー嫌がらせされた話
- 社員対抗麻雀大会でオレが一番弱かった話
- 会社戻ったら社長がデスクでブリをさばいていた話
- 先輩営業マンが借金の質に実家に抵当打たれた話
- 20代前半オレの初めての部下が40代後半の有名な金貸しだった話
- 小料理屋の双子のばあちゃんがオレには卵かけご飯しか出してくれない話
- たぶん40代以上の人だったら誰でも知ってる某有名芸能人に土下座された話
- 先輩営業マンに教えてもらった方法でナンパしたら女に困らなくなった話
- 某後家さんの愛人になると金も車も好き放題できると誘われた話
まだまだあるけど、どの話いっとく?書かないけどw
ちなみにここには書けない話は山ほどある。
灰皿が飛び交ってたとかは当たり前過ぎて書くまでもない。
ブラックな会社は結果が全て
初めて契約が取れたのは営業に出るようになってから1ヶ月半も過ぎたころだったが、初めて契約が取れたとき喜びは今も忘れられない。
本部長からも社長からも褒めてもらった、あれは嬉しかった、ボスである社長のボス「ボスのボス」から「オレ君は若いんだから可愛がられるようになりなさい」とありがたい話をしてもらったのは今でも鮮明に記憶に残っているし、そのおかげで契約が取れるようになったとオレは思っている。
入社から丸3ヶ月経ったとき初めて営業成績で1番が取れた、翌々月の末にもらった給料?は手取りで300万円を超えた、マジで震えた。
それからしばらく1番だったから毎月給料日にはその場で現金で数百万円づつはもらい続けた、オレが数百万円をもらうその横で「これからちょっとフィリピン行ってきますわ!」と本部長がバックに札束詰めていたのは忘れられない、その頃の本部長の給料は数千万円はあったと思う、百万円束数個まとめてヒョイヒョイと鞄にしまっていく本部長の笑顔はおじさんなのにとても可愛い、いろいろとブッ飛んだ会社だった。
相変わらず朝9時~夜23時が定時は変わらないがそんな生活にも慣れてくる、足りない睡眠時間は日中仕事をサボって昼寝だ、午前0時ころには退社しその足で飲みに行き朝方帰宅し2時間程度寝てまた出社する「いってきます!」と会社を出て昼寝をする、この頃はもうブラックなのかよくわからない、結果さえ出していれば会社もうるさいことは一切言わない。
”結果が全て ”
会社にとっても自分にとっても結果こそが全てで、結果だけが自分と会社とをつないでくれているものだと理解した、結果を残す者に対して会社は優しく、結果の残せない者に対して会社は厳しい。
会社が人1人雇うには金がかかる、結果の出ない社員を無制限で扶養していられるほど会社経営は楽じゃない、即戦力にならない扶養社員たちは会社の体力を奪う害悪でしかないのかもしれない、会社の規模や業種によってそれは当然だろう、どこもが優良大企業やお役所のようなホワイトではないってことだ。
苦しいなら辞めてしまえば良い
オレはこの会社で結果を残して上手くいったかもしれないが、結果を残せずに辞めていった人もたくさん見てきた、可哀想な人もいたし、中には辞めて当然の働かない人もたくさんいた。
だからまあ、いろいろだ。
ブラックな会社は良くないし、オレが初めて入った会社はいろいろアレだったけど、あれだけ必死になれたのは思い返してもこの会社にいたときだけだったような気がするよ、自身の成長過程の中でそんな時間が持てたというのは確かにオレの財産になっているような気がするな、ブラックは良くないけどw
オレはそれなりの結果は残せたし、結果として会社には可愛がってもらったから言えることなんだろうけどな。
ただ、結果が残せたのはそれこそ結果であって、結果が出なかった時間は苦しかったよ?不安だったし、悔しかったし、恥ずかしかったし、惨めだったし、「なんで自分がこんな目に」って毎日思ってたもんだ、衣食住すら借金でギリギリ賄ってたからな~、そりゃ苦しいよ、「なんとかしてやる!」って思ってたから不幸だとは思わなかったけど。
今となってはその経験が今の自分を作る糧となったと思ってるし、良い思い出だけどな、良い思い出だと思えるのは自分が結果を残せたからではなくて、自分が体験してきた苦しみなんかよりもはるかに苦しんで足掻いている人たちを見てきたからかもしれない。
まあ、その辺難しいところだよな~、
会社がブラックで苦しんでるって話はニュースやらなにやらで少し前から頻繁に聞くようになったよね、パワハラとか、過労死とか、時間外労働で睡眠時間少ないとか、ボーナスなしとか、洗脳されて抜け出せないとか。
会社なんてさ、嫌だったら、苦しかったら、辞めてしまえば良い!
オレがやってた営業職なんてほんとブラックの代名詞的だからね、営業なんて他にもいくらでもあるし、営業職に拘る必要もないし、嫌なら辞めちゃえばいい。
今現在ブラックな会社で働いてて苦しんでいる人には「辞めちゃえ~!」という言葉を送りたい。
「言われなくてもわかってるんだよ!」
「辞めたくても辞められないんだ!」
「生活かかってるのに、軽々しくそんな決断できるわけねーだろ!」
それは重々承知してるけど、それでもやっぱり苦しいのなら辞めてしまえば良い、「辞めちゃえ~!」
ブラックな度合いはいろいろだと思うが、苦しくて我慢できないならバックレちまえば良い、それでも追ってくるとかあるなら県またいで逃げちゃえば良い、それでもダメなら警察に駆け込めば良い、それでダメなケースなんてそうないよ。
仕事なんて何でも良いじゃん、転職先はいくらでもあるよ。
少し前の時代には仕事がなくて働けるだけでも良しとした時代が確かにあったんだよ、そして今現在は選びさえしなければ職はある時代だ、悪い意味で仕事に命賭けるなんてことはしなくても良い時代だよ、食ってくだけならなにしてでも食っていける、選り好みさえしなければ転職先はいくらでもある、やる気があるならね。
辞めちゃえ辞めちゃえ!
好きでもない仕事に命賭けても損するだけだ。
ブラックな対応を改めろ!は無理
- 十分な固定給をもらう権利がある
- ボーナスがないのはおかしい
- 福利厚生はしっかりとしてもらいたい
- 時間外労働はしたくない
- パワハラとか論外
最高に良い学校卒業して条件に近い会社に入るか、自分でそんな会社を作ってください!
世の中見渡したらさ、そんな会社は少ないよ?
昔に比べればいろいろとうるさくなった分社員の待遇は改善されているだろうけどそれにも限度はある。
たぶんブラックな企業はなくならないよ。
無くなるとしたら全ての企業が親方日の丸になったときかな、資本主義では無理だろうな、そう言えば親方日の丸って言葉聞かなくなったな。
確かに、会社で働く側には正しく働く権利があるとは思うよ、ただしその権利も会社に貢献できなければいづれ受けられなくなって当然だとオレは思う。
「頑張らない」「結果を出さない」「権利だけを主張する」「やる気のない」社員の”働く側の権利 ”を、頑張っている社員が出した「成果」で守っていかなきゃならない社会とかおかしいでしょ?
前は権利を主張するならそれなりの結果が求められて当然だったけど、今の時代どこまでいっても「権利」が先だからな~、それもそれで「歪だな~」って思うよ。
働きもしないで9時~5時で残業なくて福利厚生ちゃんとしてて給料もたくさんもらえてなんて会社はそうないよ。
だから、ブラック企業が無くならないんだとしたら自分で判断するしかない、決断するしかない。
だから、まあ、ブラックな会社のことも、そこで働く人のことも、一概にこうだとは言えない、会社も人もいろいろだってことだ。
まとめる
初めて就職した会社はブラック企業だった!って話だからとくに何かを訴えかけるとか、話をまとめるとかもないんだけど。
望みもしないのにブラック企業に入っちゃったってのは辛いだろうから少しだけブラック企業の見分け方みたいなことは書いておく。
業界や業種は調べておいたほうが良いよ、会社だって好きでブラックやってるわけじゃなくて「そうしないと食えない」からブラックなんだよ、そして「そうしないと食えない」会社というのは「そうしないと食えない業界」「そうしないと食えない業種」といった感じで固まる傾向にある、だからその辺調べれば事前予防にはなると思う、あとは「運」かなw
やりたいことがそこにあってブラックに飛び込まざるを得ないというのなら「やるしかない!」ブラックにめげずに頑張るしかない、で、苦しくて我慢できなくなったら辞めちゃえば良い、辞めちゃえ辞めちゃえw
ついでに、入りたくもないのに入ってみたらブラックで苦しいっていうならそれもまた辞めちゃえ!
「デメリット>メリット」だから苦しいんでしょ?天秤にかけてマイナスが多いようなら辞めれば良い。
オレも結局は4年位で辞めちゃったよw
まあ、良い意味でも悪い意味でもオレが初めて就職したブラックな会社での出来事がその後のオレの人生に大きく影響したのは事実だな。
良い意味では、先に書いたとおり、この会社にいた時間が確かにオレの成長の糧になっているということ。
悪い意味では「この会社に入らなければ別な人生もあったのかな~」とたまに思うところ、ほらあるじゃん?オフィスラブ的な?東京ラブストーリーみたいな?そういうのに憧れてたしオレ、それとか同僚と仲良くなったり?そういうのとか?
オレ、ボーナスなんてもらったことねーもん、オレも一度はボーナスとかもらってみたいな~って思う。